石田明さん著「答え合わせ」を読みました。

お笑いコンビ「NON STYLE」の石田明さんの「答え合わせ」を読みました。結論から言うと、とても面白かったです。
石田さんのことはあまり知らなかったのですが、とても真面目にお笑いに向き合っている人なのだと感じました。僕は、こうして1つのことを真剣に考え続けられる人に憧れるんですよね。そんな人の思考の断片を聞かせてもらえるのは、大変貴重な体験だなと思いました。
本書は「お笑い」について論じたものです。お笑いについてはそこまで詳しくない自分ですが、驚くほどに共感できるところが多々ありました。それは、自分が創作をしているおかげだと思います。
例を挙げてみますと……。
本書の「M-1論」の章にて、本来点数化できないものを点数化する難しさが語られます。これについては、自分もコンテストに出した経験があったり、プレイした中で特に良かったものを1つ選ぶ作業をしてきたことがあったので、とても共感できました。
また、漫才においては「作られた感」があるとお客さんは没入できないのは、創作でもいえることですし。ナマのエネルギーをみせることで、お客さんも感情を動かされやすくなる、というところも、自分が創作において意識していることになります。
さらに「結局ベタが最強。ベタなことを、いかに斬新な器に入れて新しく見せるか」という言葉。この言葉も、創作で通用するものだろうと思います。
なぜこんなにもお笑いと物語創作で通じるところがあるのかと考えてみると、いずれも「自分が創造したものをみてもらうことで、いかに感動してもらうか」という点が一緒だからなのだろうと思いました。
また、特に勉強になったなと感じるのは、
「おもろいやつには意見がある。目にするもの全てに意見を持とうとした。些細な日常のひと場面でも、「俺はこれをどう考えるんや」と自問自答する。それによって、漫才師としての力もついてきた気がする。」
という部分です。人間としての面白さ、創作者としての面白さって何かと考えてみると、何をどれだけ知っているのかなんてどうでもよくて、「その人自身はどう考えるのか。どんな主張を持っているのか」が大事なのだと思います。また、そのことを少しずつ鍛えていけば、意識せずとも作品に味が出てくるかもしれないな、なんてことも思いました。
なんとなく「知らない世界に触れてみたいな」と思って購入した1冊でしたが、とても良い読書体験ができました。
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