(ネタバレ注意)「時計塔へ -ciel et neige-」をプレイしました。

先日、「cafe de soratoyuki」のyukiさんによるサウンドノベル「時計塔へ -ciel et neige-」をプレイいたしました。
以下、ネタバレ注意です。






















大変美しい作品でした。読後の余韻も強く、僕は読了した後もしばらく立ち上がれずに物思いにふけってしまいました(笑)

序盤は(申し訳ない事ですが)ここまで大きな動きがあるお話とは思っていませんでした。すっかり油断していて、「妹との強い絆と、新たにできた大切な男性との関係。その葛藤を描いた作品かな」と想像しておりました。中盤の章のタイトルに「時計塔へ」が出てきた時は、「おお。そろそろ終わるのか」などと考えてしまったりしましたね(笑)

しかし、この物語の真骨頂は中盤以降です。
ミミを追い求めて彷徨うエリーの描写は、切なくも美しいものでした。この物語は、どこか現実離れした描写でエンドロールを迎えます。エリーは最後、綺麗なままに死んでしまったのかと思っていました。ですが、予想に反して、彼女は生き残っていたことが示されます。そして、そうして生きていたからこそ、彼女がお話を書くことができ、彼女の孫、更には我々読者がこの物語を知ることができたのだ、とも語られるわけです。
年老いて、体も言うことをきかなくなったエリー。しかし、そんな彼女がささげる祈りもまた、美しい。実に味わい深いラストであったと思います。

なお、ストーリー以外のところについても、見習うべきところがありました。
物語を盛り上げるよう、描写や音楽、映像にも細やかな注意が払われていたと思います。BGMで言いますと、「月の記憶」というクライマックスで流れる曲が特に好きになりましたね。
また、自作であろう絵も作風にマッチしていたと思います。個人的には、ミミが夕日をバックに走ってくる1枚絵が好きです。あとは、(ベタでしょうが)ラストの1枚絵。あれを見ると未だにジーンときてしまいますね……。

全体を通して、作者さんの個性が光る作品でした。やや暗い雰囲気ではありますが、どんどん物語に引き込まれる良作です。未プレイの方がいらっしゃったら、是非プレイしてみてください。

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