(ネタバレ注意!)エイトストーリーズプレイ後の感想まとめ。

エイトストーリーズの作者さん当てという楽しみが終わって少し時間が経ちました。結果は8個中5個は正解、3個は外れという結果でしたね。
答えあわせした直後は、喜びと寂しさ、そして恥ずかしさを強く感じているばかりでした。しかし、いくらか時間がたったことで少しは自己分析できる余裕が生まれてきました。今思うことを書こうと思います。
以下、ネタバレ注意。






















まずは、このエイトストーリーズという作品の総合的な感想を。
まず強く感じたのは、ひとつひとつの作品のレベルが高かったことです。「この作品よりは優れたものが書けそうだ」という感覚が生まれた作品はありませんでしたw また、それぞれの作者さんの個性が出ていたのも良い点ですし、展開がかぶっている作品がなかったのも楽しめた理由のひとつでしょう。これだけ大きなプロジェクトの中でかぶらないようにするのは大変なことだったと思います。これは、作者さん同士の密なやり取りがあったからでしょうね。
話が少しそれますが、作者さん同士の交流についても少し。おまけや後書きからは、スタッフの方々がいかに協力し合ってこの作品を作ったのかを伺い知ることができます。毎週土曜日に集まってそれぞれの作品について語り合ったこともあるようですが、製作者としてたいへん羨ましいですね。エイトストーリーズが完成してしまうことに寂しさを覚える、という方もいらっしゃいましたが、納得です。個人プレーが好きな九州壇氏ですが、合作も楽しそうだな、と思いました。いつかやってみようかな。


それから、作者さん当てについても書かねばならないでしょう。「これが自分の限界だった」という清々しいあきらめの気持ちもあります。とはいえ、同じことをして同じ結果になるのは嫌なので、ひとり反省会をしていましたw  答えを知ったうえで冷静に考えてみると、いくつか反省点があったと感じます。以下、反省点を列挙してみます。

・正解にたどり着くには、作者さんたちの作品の読み込みが足りなかった。
これは怠慢のなす業で、猛省しております。それなりに読んでいたつもりでしたが、全然足りませんでしたね。特に、八久斗さんの作品はもっともっと読み込んでおかねばなりませんでした。実際にやり取りをした経験のある方なんてほとんどいなかった僕です。作品はもちろん、HPやブログの文章にも目を通して、作者さんのやりそうなこと、やりそうにないことを研究しておけばよかったです。確かに結構な作業量ではあったんでしょうが、間違って申し訳ない気持ちになるよりは良かったでしょう。
では次。

・これはおそらく○○さんだ、と推測すると、その後の作品では別の作者さんたちの中で答えを考えてしまう癖があった。
これはつまり、一度出した予想を『不確定で保留しておくべきもの』としてとらえる柔軟性がなかったということです。具体的には、「Edge of the world」と「彼女たちは兄の夢をみるか」でその傾向が見られました。この2作品では、「作者さんはきっとこの人で決まりだ!」と考えてしまい、他の作品の予想ではこれら作者さんたちを除外して考えてしまったのです。作者さん当てを始めるにあたって、「予想はあくまで予想、正解だと決めつけてはいけない」と肝に銘じていたつもりなんですが……。口で言うほど簡単ではありませんでしたね。すべてが不確定な中で予想を進めていきましたので、なんらかの「確かさ」にすがりたいという弱さが出たのでしょう。無念。

・展開やキャラクター設定などを、作者予想の材料として重きを置きすぎた。
これも、大きな反省点ですね。今だから冷静に言えるのですが、「展開の進め方が似ている」なんてほとんど材料にはなりえないんですよねw よほど同じような作品を作り続ける作者さんならまだしも、大抵の作者さんは降ってきた物語を軸に話を作るわけですから、展開の進め方なんて相当に不確定な要素なんです。また、キャラクター造形だって、物語を書きなれた人であれば様々な登場人物を生み出すことができますので、それを確定の要素にはできません。今考えると、「展開やキャラクターの設定が似ているから同じ作者さんだと思う」という推測の仕方は、よろしくなかったですね。これも、確からしい何かにすがりたい思いが生んだ過ちだったと思います。
本当に確定的になりえるヒントって、物語表層にはないのだと感じます。キャラクター設定、物語の展開に惑わされず、奥から時々顔をのぞかせる作者さんらしさを見つけるしかないのでしょう。そちらにもっと重きを置いていれば、別の予想になったのかもしれません。
まあしかし、それが難しいなと感じた作品が多かったんですけどね。予想の最中にも言いましたが、文章をそれなりに書きなれている方って、「無意識のうちに顔をのぞかせてくれる瞬間」が減ってきます(意図的にのぞかせてくださった方もいましたが。Nさんとかです)。今の僕では、作者さんたちの尻尾を捕まえようと意識していても、なかなか難しかったですね。どこに着眼すれば作者さんたちの無意識を捕まえられたのだろう、と未だによく考えます。作者さんたちのことをもっと知れば、見えてくるものがあるんでしょうか……。これについては、実のところまだ具体的な解決策が見つかっていません。時間を見つけて、もう一度反省してみますw


まあ、自己満足でしかない反省はこのくらいにしておきましょうか。最後に、少し自分のことを。このゲームをプレイしたことで、自分を見つめなおす機会もいただいたと感じます。
エイトストーリーズでは、それぞれの作者さんごとの優れた表現が見られます。文章を集中しながら読んでいると、しゃれた表現というのも読者を楽しませる立派な要素だと改めて実感しました。「読ませる文章」をそれほど重要視せずにここまで来た僕ですが、今後は少し工夫してみたいとおもいました。自作とエイトストーリーズを対比してみると、僕の文章には熟れてないです。あまりにごてごてした文体は嫌ですが、遊びのある文章を目指したいですね。
また、個性あふれる作品を立て続けに読ませていただくことで、「楽しませ方」にもいろいろあるのだ、ということを強く感じましたね。純粋にやり取りが面白かったり、勉強になるようなことが書いてあったり、どんな展開になるのだという期待感を持たせてくれたり……。いずれも、多くの努力、工夫がなす業です。これを、僕も身につけていきたいですね。もう少し力のある書き手になるために、やるべきことはたくさんあると思いました。モチベーションを上げてくれたことにも感謝せねば。


以上です。自分なりに真剣に取り組みましたので、感じるところもたくさんありますが、それを全部書くとすごい量になりますのでやめておきますw 
これにて、エイトストーリーズの感想、および作者さん当てを終わろうと思います。これからは、プレイした方々との語らいを楽しみにしたいと思いますw こんなところまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました! 

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この記事へのコメント

栗桐 文輝
2012年11月11日 15:18
はじめまして、栗桐 文輝です。エイト・ストーリーズでは半透明パレットというルートを書かせていただいておりました。
ずっとニヤニヤしながら読ませていただいていたのですが、そろそろいいかなと思いコメントさせていただきました。作者予想で自分の名前が出るたびにコメントしたい衝動をグッとこらえるのは骨でしたw

作者予想、お疲れさまでした。透明パレットは逃げきったようですが、特徴なくするする入るそうめんのような文章を書きたい僕にとってはちょっと嬉しい結果だったりしますw
今回は僕個人の稚作までプレイしていただいたようで、本当に嬉しい限りです。もったいないぐらい褒めていただいたおかげで創作モチベも上がっておりますので、また頑張ってみようと思います。
では、ぐだぐだと失礼しました。
NaGISA
2012年11月11日 15:44
お疲れ様でした。感想、楽しんで読ませていただきました。

私自身は、作者を隠そうと思って書いていなかったんですが、もうちょっと私の作品だと分かりにくいシナリオにすれば良かったかな、とも思っています(笑)。

ちなみにシナリオの内容が被らなかったのは、プロットの段階から各ライターさんに提示してもらい、調整を行ったのです。私は「ループもの」としか出してなかったので、少々あいはらさんと被ってしまいましたけど。しかも当初は、終わり方までが栗桐さんと被ってました。駄目ライターですね(笑)。

製作作業を通じて、私自身も制作意欲が沸いてきましたので、今次回作の構想をゆるゆると練っているところです。いつ書くか分かりませんが、その時はまたよろしくお願いします。
ケイトー
2012年11月11日 23:24
はじめまして。ケイトーといいます。
エイト・ストーリーズの感想&作者当て、毎回楽しみにしてました。
御挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません(汗

自分のルート、見事に当てられてしまいましたね。参りましたm(_ _)m
色々とするどい指摘に、思わずドキリとしてしまいました(笑
でも、当てられたという事は、作者として大変光栄です(^^)
そして、エイトストーリーズを楽しんでいただけた事が、製作にかかわった者として、とても嬉しいです!

九州壇氏様の作品も、毎回プレイさせて頂いてます。
感動ものや、切ない物語があると思えば、まさかのド下ネタがあったり(笑
また、自分も大好きなテニスのシーンがあったりと、いつも楽しませて頂いてます。
新作も予定されてるとの事で、楽しみにしております(^^)

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

あ、あと、オープニングでは、いきなりのスタッフ表示で驚かせてしまい、大変失礼致しました(汗
九州壇氏
2012年11月15日 23:41
栗桐 文輝さん
わざわざコメントくださいましたのに返信が遅くなりすみません。初めまして、九州壇氏と申します。
このたびは、エイトストーリーズの制作、お疲れ様でした。また、作者さん当てで好き勝手書かせていただいた挙句、間違えてしまい申し訳ありませんでした。確かに答えを知ったうえでみてみれば、「魔法使いカラオケに行く」に似ているけど……! あれが僕の限界でしたw 「だいだいsnow」の印象が頭に強く残りすぎていたのかもしれません。
半透明パレットはたまちゃんが良いアクセントになっていたと感じます。また、地の文も上手いと思いました。「そうめんのように」という目標も達成していると思いますが、じっくりと読むことにも耐えうる文章でした。日常のやり取りでも登場人物らしさが出ており、僕も見習わなければならないな、と感じています。素敵な作品をありがとうございました。
また、「だいだいsnow」と「魔法使いカラオケに行く」も読ませていただきましたが、いずれも別の良さがあって面白かったと思います。
このたびは、本当にありがとうございました。良い作品を作っていけるよう、お互い頑張っていきましょう! わたくし九州壇氏、こんな堅苦しいやつではありますが、今後もよろしくお願い申し上げます。
九州壇氏
2012年11月15日 23:41
NaGISAさん
いつもお世話になっております。このたびは、エイトストーリーズの制作お疲れ様でした。作品作りはもちろん、作品同士が被らないように調整したり、皆さんに集まってもらえるよう統率をとったりとお忙しかったと思います。素敵なプロジェクトをありがとうございました。
作者さん当てについては好き勝手書かせていただきすみません。NaGISAさんは、「らしい文章」があったので正解できましたが、NaGISAさんが本気で隠そうと書いたら、多分わからないと思いますw 
ちなみに、僕個人としては、NaGISAさん「らしさ」が好きだったりするんですけどねw
作者さん当てという観点から強敵だとかなんとか言っちゃってますけど、「作者が誰かわからない作品=優れた作品」は必ずしも成り立たないんだよな、とふと思ったり。今回の一連の記事の中でも「書き慣れれば癖がなくなってくる」なんて書いていますが。今考えてみると、「書き慣れれば、あらがなくなってくる」のだと思います。
「らしさ」の良さも必ずあると信じて、九州壇氏、作品を書いていくつもりですw
とにもかくにも、本当にお疲れ様でした。またエイトストーリーズについて語れる時を楽しみにしています。
九州壇氏
2012年11月15日 23:42
ケイトーさん
返信が遅くなりまして申し訳ありませんでした。初めまして、九州壇氏と申します。
このたびは、素敵な作品をありがとうございました。
記事でも書きましたが、非常に好みの作品でした。ネガティブな主人公の成長を描く、という物語が好きです。僕も、そんなのばかり書いていますw
それから、ゆなみさんがすごくいいキャラクターですね。彼女は人気者と聞きましたが、そんなの関係ねぇー、って勢いで好きですw
ケイトーさんの作品は他のものもプレイさせていただいていますが、「こんな物語」は特に完成度が高い作品でした。シナリオの組み方が非常に上手くて、ぐいぐいとひきつけられました。それからおまけもw ケイトーさんの次回作、楽しみにしていますね!
それから、ケイトーさんもテニスをされるんですよね。並行陣のことをブログで書いておられましたが、ローボレーがうまくない僕としては羨ましいですw ケイトーさんも機会がありましたらテニスを題材にして書いてみてはどうでしょうか。書いていて結構楽しかったので、こっそりお勧めしておきますw
このたびは素敵な作品をありがとうございました! 今後ともよろしくお願いいたします。

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