(ネタバレ注意)「カキフライにタルタルを」をプレイしました。

久々にノベルゲームの感想を書かせていただきます。
八久斗さんの「オムライスにケチャップを」、「カキフライにタルタルを」の感想です。このタイミングだと「エイトストーリーズ」での「作者当て」のために読んだのだと思われそうですね。
……もちろん、そういった理由もあるのですがw(作者さん、すみません)
しかし、印象的な題名、作品紹介で前から気になっていたのは間違いないことで。今回、「エイトストーリーズ」に背中を押される形で読ませていただきました。日常ミステリーというジャンルはあまり馴染みのないものでしたので、新鮮さもあって面白かったです。
以下、ネタバレ注意です。




















まずは、いつものように読者として感じたことを書いてみます。
「オムライスにケチャップを」は、かなりカオス気味なギャグをたっぷりと楽しめる短編作品でしたwこれはこれで、十分作品として成立しています。ただ、ギャグ要素のみのやり取りだけでは徐々にパワーダウンしてしまいがちなのもまた事実。読後の満足感は、どうしても長編に比べると弱くなってきます。
僕個人としては、読み終わった後の感覚を大事にしたいんですよね。

そういう理由もあり、僕は「カキフライにタルタルを」のほうが好みです。前作の雰囲気が引き継がれていますが、実はかなり丁寧に作られていると感じます。特に、今作より加わった恋愛要素と謎解き要素は面白かったですね。
まず、恋愛要素。
ヒロインは2人です。前作では、「シュールな笑いを誘ってくれる女の子」としか感想を抱かなかった桐と麻奈との恋愛模様が描かれます。。そんな彼女らが照れる様子は、妙にかわいらしかったですw
それから謎解き要素。これは、本当によく練られています。
謎の解答が明かされていくシーンは「なるほど」と頷けるものばかりで、面白かったです。僕はついつい面倒くさがって、謎から逃げてしまうタイプなんですが(作者さん、すみません)、好きな人はハマると感じました。
以上、ふたつの要素が読者を引っ張ってくれて、冒頭からは想像できないくらいの満足感を得られる作品でした。

続いて、作者として思うところも少し。すごく読者思いの作者さんだ、と感じました。というのも、文章の節々から、「読者を楽しませてやるぜ!」という気概を感じるんですよね。シュールな会話はもちろんですが、謎解き要素も恋愛要素もしっかりと作っています。それら要素を作り上げるにはベクトルの違う努力が必要だと思うんですが、いずれも手を抜いていないと感じました。作品作りが好きでなければ、こんなにも頑張れないでしょう。作者として尊敬の念を抱きました。
では、少しだけ気になった点も挙げてみます。個人的には、謎解きが出てくるのがやや唐突に思えました。
正直に言ってしまいますと、「遊園地」のシーンについては、謎解きとすら理解していませんでしたw推理にこれほど重きを置かれている物語とは思わず、せっかくのヒントのところをさらさらと読んでしまったんですよね。自分は作ったことがないのに無責任に言うのですが。もう少し「この後推理があるだろうから、注意して読んでおかないと」と思わせてくれる工夫があると良かったかもしれないな、と感じました。

以上です。
まとめますと、「オムライスにケチャップを」よりもさまざまな工夫、挑戦がされている作品です。僕も、人とは違ったものを作ってみたいな、という念を抱いている人間ですので、こういうチャレンジの詰まった作品は好きです。
ほかの作品も、時間を見つけて読んでみようと思います。

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